2020年分年末調整の変更点について 2020.9.30
2020年も後3ヶ月ですね。
あっという間に日々が過ぎてしまっている今年。
体調に気を付けながら、気持ちだけは慌てずに過ごしたいと思います。
さて、今回は2020年分(令和2年分)の年末調整の変更点についてご案内します。
1.基礎控除額の引き上げ
基礎控除額はこれまで、収入・所得金額に関係なく一律38万円でした。
税制改正に伴い、2020年(令和2年)からは一律48万円に引き上げられます。
ただし、合計所得金額(所得控除前の所得金額)が2,400万円超で控除額が減少し、
2,500万円超でゼロとなります。
合計所得金額 →基礎控除額
2,400万円以下 → 48万円
2,400万円超2,450万円以下 → 32万円
2,450万円超2,500万円以下 →16万円
2,500万円超 → 0円
2.給与所得控除額の見直し
上記の基礎控除額の引き上げに対応する形で、給与所得控除額は一律10万円引き下げられます。
また、給与所得控除額を判定する上での給与等の収入金額の上限が850万円に
引き下げられました。給与所得控除額の上限も195万円に引き下げられています。
3.所得金額調整控除の新設
年収850万円を超えて、かつ一定の要件※に該当する給与所得者(サラリーマン)について
税負担を軽減する目的で生まれた制度です。
※要件→給与収入が850万円を超える居住者で下記のいずれかに該当する者
①本人が特別障害者に該当
②年齢23歳未満の扶養親族を有する者
③特別障害者である同一生計配偶者もしくは扶養親族を有する者
4.ひとり親控除の新設、寡婦(寡夫)控除の改正
税制改正により、ひとり親控除が新設されました。
既存の寡婦(寡夫)控除に該当していなかった「未婚のひとり親」が増加していることに
対応する制度となっています。
*対象者→現に婚姻をしていない者又は配偶者の生死の明らかでない者で、
下記の要件に該当する者
①総所得金額等の合計額が48万円以下の同一生計の子を有すること
②本人の合計所得金額が500万円以下であること
③住民票に事実婚である旨の記載がされた者がいないこと
*控除額
ひとり親控除の対象者の所得税、住民税の計算時、総所得金額等から
下記の金額を控除する
所得税:35万円
住民税:30万円
5.年末調整書式の改訂
上記のように改正があったこともあり、年末調整の際に会社等に提出する書類の書式が
変更となっています。
今年、年末調整時において提出する書類は以下の3種類です。
①令和3年分給与所得者の扶養控除等(異動)申告書
②令和2年分給与所得者の保険料控除申告書
③令和2年分給与所得者の基礎控除申告書兼給与所得者の配偶者控除等申告書兼所得金額調整控除申告書
このうち③について、基礎控除申告書部分については全員記入、
給与所得者の配偶者控除等申告書部分については合計所得金額1,000万円以下かつ配偶者がいる人のみ記入、
所得金額調整控除申告書部分については年収850万円超かつ一定の要件を満たす人のみ記入となっています。
書式が変更になっていることから戸惑ってしまうこともあるかと思います。
お気軽に担当者にお尋ねください。
以上のように、2020年の年末調整に関して従来との変更があります。
年末調整の作業をスムーズに進めていくために、年末調整の書類が
税務署から届いたらお早めに書類の配布をして頂き、
合わせて回収もお早めに行って頂くことが良いように感じます。